派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「あっ……」
「うん？　シズカ、どうしたのよ？」
「え？　いや、その……」

　私は、思わず声をあげていた。アルフィアに関するある事柄について、今更思い出したからである。
　しかし、それを声に出すべきではなかっただろう。なぜなら、それは彼女に聞きにくいことだからだ。
　だが、声に出してしまったのだから、隠すことは難しい。アルフィア自身が、訝し気な目でこちらを見ているし、これは話すしかないだろう。

「ごめんなさい……アルフィアのことで、少し気になることがあって……」
「私のこと？　一体何よ？」
「アルフィアは、時が巻き戻る前、たくさんの人に囲まれていたよね？　その人達との関係はどうなっているのかと思って……」

　私が気になったのは、アルフィアの人間関係である。
　彼女は、多くの取り巻きに慕われていた。だが、その取り巻き達と私は関わっていない。
　そんな取り巻き達との関係は、どうなっているのだろうか。それが私は気になってしまったのである。

「ああ、あの子達のことね……まあ、確かに時が巻き戻る前は、それなりに慕われていたけれど」
「私は、彼女達とは関わってこなかった……今のアルフィアは、どうなの？」
「関わっていないわ」
「それで……寂しかったりしないの？」
「寂しいか……確かに、少しそういう気持ちはあるかもしれないわね」

　私の質問に対して、アルフィアは遠い目をしていた。なんというか、まるで他人事のようだ。