派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「わからないことが多すぎるのよね……」

 アルフィアの末路について知っているのは、友人に聞いたり、インターネットで調べたりしたからである。決して、自分でプレイした訳ではない。
 そのため、どうしてアルフィアがそんな末路を辿ったのか、その過程がわからないのである。
 今の私にとって、結末だけがわかっていることはあまり良いことではない。過程がわかっているなら、その結末に辿り着かないように行動できる。だが、わかっていないなら、それはできない。どう行動するのか、わからないのだ。

「でも、わかっていることはある」

 だが、それでもわかっていることはある。例えば、プレイしたルートのことはわかっているため、その行動は避けることができるだろう。
 そして、そのルートからアルフィアがどういう人間なのかもわかっている。それなら、そのアルフィアとは正反対の人間になれば、彼女が取った行動も避けられるはずだ。

「アルフィアは、派手好きな公爵令嬢……それなら、私は地味に生きていけばいい……」

 アルフィアは、派手好きで高慢で豪快な性格だった。それなら、私は地味で謙虚に穏やかに生きていけばいいだろう。
 それは、そこまで難しいことではない。なぜなら、かつての私はどちらかというと、そういう性格だったからだ。
 以前の私と同じように生きる。今の私にできるのは、きっとそういうことなのだろう。
< 4 / 334 >

この作品をシェア

pagetop