派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
 メルティナの言っていることは、驚くべきことだった。人生を二回歩んでいる。それは、普通に考えれば信じられないことだ。
 だが、前世の記憶を持つ私にとっては、それもあり得ると思えることだった。奇妙な体験をしている私にとっては、彼女の体験も納得できる。

「どうしてそんなことになったのかは、わかりません。実際に時が巻き戻ったのか、それともそれは私が見た夢だったのか……とにかく、私には違う体験をした記憶があるのです。そこでは、アルフィア様は私を攻撃してくるグループの中心だった」
「……アルフィアが中心? ちょっと、待って……」
「え? どうかしましたか?」

 メルティナの言葉に、私は少し違和感を覚えた。
 彼女が体験した世界のアルフィアは、ゲームの世界と同じ性格だった。もし時が巻き戻ったとしたら、その時の彼女は果たして何者だったのだろうか。
 それは、前世の記憶がなかった私と考えることもできる。それなら、ゲームと同じ行動を取ってもおかしくはないだろう。
 ただ、それにはどうも違和感があった。自分ではない自分というものが、想像できないから、そう思うのだろうか。
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