派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「私の杞憂であるという可能性はあるでしょう……ただ、思っていたのです。時が巻き戻って、私の記憶が保持されているということには、何か意味があるのではないかと」
「あなたは、それがアルフィアを操っていた者を探すことだと思った訳ね?」
「ええ、そうです。今回の出来事で、それは確信に変わりました。アルフィアがいなくなっても、私を虐げる者はいて、そして彼女もまた何かに追い詰められているかのような態度をしていた。やはり、彼女達の裏には何者かがいる……私は、そう思っているのです」
「何者か……か」

 アルフィア達を裏から操る者。それは考えもしていなかったことだが、メルティナの言葉を聞いていると、真実であるような気がしてきた。
 もしそうだとしたら、一体誰が彼女達を操っているのだろうか。それは、とても重要なことだが、とても難しいことである。

「……あなたに、お願いしたいことがあります」

 私が考えていると、メルティナがそう切り出してきた。彼女のその凛々しい表情に、堂々とした態度に、私は以前彼女がまるでゲームの終盤のようだと感じたことを思い出した。
 その謎は、既に解けている。彼女は、一度この学園でゲームの本編にあたる一年を過ごした。そんな彼女が、終盤のようになるのは、当然のことだ。

「どうか、私と一緒に黒幕にあたる人物を探してくれませんか? あなたは信頼できる人です。だから、力を貸して欲しいのです」
「メルティナ……」

 メルティナは、私に向かってその手を差し出してきた。私は、少し考える。その手を取るべきなのかどうかを。
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