相思相愛・夫婦の日常~マオさん♡ヒメさん編~
あぁ…胸くそ悪い。
イライラする。

今日は、休みだぞ?

休みまで、俺のヒメさんを取るなよ。

ヒメさんは俺のモンなんだ。

“あの日”ヒメさんを見つけたのは、この俺だ。




あの日━━━━━━━━

真皇が大学四年の春。
その日は、入学式だった。

真皇は大学内の図書館に用があり、友人・ヒロキと大学にいた。
『今年は、あんまいないな、可愛い子』
ヒロキが、一年生達を見回して言う。

『お前はいつも、女のことばっかだな』
真皇は、呆れたように言った。

『当たり前でしょ?
運命の相手を見つけたいんだから!』

『“運命”って、顔に似合わないこと言うなよ』

『フフ…でも、俺は信じてるよ?』


“運命”か…………
そんなの、あるわけがない。

あるなら、俺の方が知りたい。


『━━━━━運命の女、いねぇかなぁー!』
ヒロキが、少し声を張り上げて言った。

『うるさい!もう、いい加減に━━━━━━え……』


もう散り始めている桜の花びらが、風で綺麗に舞う大学内の広場。

沢山いる学生の中に、姫華がいた。
舞っている桜の花びらが、姫華の雰囲気に合い、とても綺麗だ。

姫がいる━━━━━

そう思える程に美しくて、でもどこか儚い。

真皇の五感全てが、姫華に向いていた。

“一目惚れ”

…………というより

“一目落ち”

惚れたという、生易しいモノではない。
言葉通り、一目で落ちたのだ。

“彼女が欲しい”

その思いだけに支配され、真皇は引き寄せられるように姫華に近づいた。

『━━━━━━━こんにちは!』

声をかけられ振り向いた、姫華。
その瞬間姫華は目を見開き、やがて顔を真っ赤にしてはにかんだ。

なぜか真皇には、それが“あ、彼女も俺に落ちた”んだとわかった。

真皇は姫華の手を掴み『行きましょう!』と、そのまま手を引いた。

人気のない所まで移動して、向き直った。

『俺は、碇部 真皇と言います!
貴女の名前を教えていただけますか?』

『はい!私は、小峰 姫華と言います!』

『ヒメカさん。
名前まで、お姫様なんですね!
フフ…ヒメさんですね!』

『そ、そんな…/////照れますね…/////
碇部さんは、魔王さんなんですか?』

『フフ…いえいえ、こんな容姿なので魔王みたいでしょうが“ま、お”です!
真実の皇帝。真、皇!です!』

『マオさん!
フフ…素敵なお名前ですね!』


『嬉しいです!
ヒメさんに、マオさんって呼んでもらえると!
……………あの、ヒメさん。
俺の恋人になっていただけませんか?
ヒメさんに、一目落ちしました!
もう、運命としか考えられません!
俺と幸せになりましょう!』

二人は、この日から交際を始めたのだ。
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