相思相愛・夫婦の日常~マオさん♡ヒメさん編~
駅に着き、電車が停車する。

「ヒメさん、行きましょ?」
「はーい…」

「ほら、機嫌直してください!
今日は、楽しい旅行じゃないですか!」

手を差し出し言うと、姫華が微笑んだ。
「そうですね!
話は、今からでも沢山できますもんね!」

「はい!さぁ、行きましょ?」
「はーい!」
真皇の手を取り、二人は電車を降りた。

真皇と姫華が降りた後の、電車内。
先程の男二人が、放心状態で見ていた。

自分達へ向けられた、殺意のような雰囲気と拳を片手で受け止めた強さ。
なのに姫華が起きた途端それは、甘く優しい雰囲気に早変わりした。

本当に、同一人物なのか疑う程に。

「ほんと、変なおっさん…」
「だよな……」


駅からバスに乗り、少し行ったとこにある旅館。
受付で━━━━━━

「碇部様ですね!
お待ちしておりました!
風谷様にはいつもお世話になっております!」

「あ、あぁ」
「ん?あ、風谷さんって方なんですか?
手配してくれたの」

「え?あ、そうですよ」

「風谷さん、風谷さん…覚えておかなきゃ」
姫華は、名前を覚えようと呟く。

(風谷の名前なんか覚える必要ないのに……
ヒメさんが穢れてしまう)
と心の中で毒づいていると………

「あ、風谷様もいらしてますよ」
と従業員が言った。

「は━━━━━?」
「え?そうなんですか!?
じゃあ…少しだけ、お会いできないですか?
今回こちらを手配していただいたみたいで、お礼を言いたくて……」

「え?ヒメさん、ダメ━━━━━」
「かしこまりました!
連絡をして━━━━━━」

「ここにいるよ~ん!!」

真皇と従業員の言葉に被さるように、風谷の声が受付に響いた。

「え?あ……」

「こんにちは!
風谷です!
姫華ちゃん!」

「はい!初めまして!
碇部 姫華です!
今回は急だったのに、わざわざありがとうございました!」
風谷に微笑み、丁寧に頭を下げた姫華。

「いいえ!
やっと会えたね!
可愛いね~!
マオさんの奥さんがこんな可愛い子だったなんて!
マオさんが羨ましいなぁ~!」

「そんな…/////
ありがとうございます!」

姫華が顔を赤くし、微笑んでいる。

風谷に“可愛い”と言われたからだろうが、真皇は驚愕していた。

真皇にとてつもない嫉妬心が芽生える。
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