相思相愛・夫婦の日常~マオさん♡ヒメさん編~
「あ、これは…マオさんにです!」

「あー、マオさんか!
姫華ちゃんは?
姫華ちゃんはないの?欲しいもん」

「え?特には…」

「えー!俺が買ってあげるよ?」

「いえ、お気持ちだけで!
ありがとうございます!」

「えー!
うーん……これとかは?
美味しそうだよ?」

「いえ、大丈夫です!」
お菓子の箱を取り、渡してくる風谷。
それを、やんわり断る。

「そう?
なんかしてあげたいな!」
今度は、グッと顔を近づける。

「………」
後ずさる、姫華。

「ねぇ、俺の部屋に来ない?」

「━━━━は?」

「二人でお話しようよ?」

「………」

「ね?行こ?」
姫華の手を掴む。

「━━━━やめてください」
そんな風谷に、冷ややかな声色で鋭く言い放つ姫華。

「え?」

「行きません」

「………」
とても冷たい視線と雰囲気。
軽蔑するような、瞳。

(なんだ、この女…
急に雰囲気が変わったし)

そこにちょうど真皇が一階に下りてきた。
対当している姫華と風谷を見て、駆け寄ろうとする。

「風谷さんは、マオさんの友達なんですよね?」
しかし姫華の風谷を見る鋭い視線と、冷たい声色にピタリと立ち止まる。

「え?あ、そうだよ」

「だったら、余計にこんなことやめましょうよ」

「え?」

「どうして友達を裏切るようなことをするんですか?
こんなの…誰も幸せになれない。
マオさんも、私も、そして…風谷さんも」

「………」

「それに私は、マオさん以外の男の人には全く興味ありません。
あくまでも風谷さんのことは“マオさんの友達”としての興味です。
でもそれも、マオさんに関することでです。
風谷さんといる時のマオさんはどんななんだろうとか、どんな話をしてるのかなとか、私のことを話したりするのかなとか、話してたりするならどんな風に話してるのかなとか…
ごめんなさい。あと、この事はマオさんには内緒にしてください。
マオさんを悲しませたくないので。
では、失礼しました」

丁寧に頭を下げ、焼酎をレジに持っていく。
支払いをして、エレベーターに向かった。

真皇は、姫華にバレないように先に部屋に戻った。

一方の風谷は、姫華の背中をジッと見つめていた。

「フッ…とんでもない、女だな……
さすが、碇部 真皇の女ってことか…(笑)」

そして噴き出し、ポツリと呟いた。
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