相思相愛・夫婦の日常~マオさん♡ヒメさん編~
「おはようございます!」

会社に着き、挨拶をする。

「「「おはようございまーす!!」」」
社員達が元気に挨拶してくる。

「姫華、早速だけど……
先月決まったチーク」
姫華の同僚で友人・峰岡(みねおか) 元美(もとみ)が声をかけてくる。

「うん」

「試作品が届いたの。見て!」

「ん?これなんか……」

「でしょ?
濃いよね?」

「え?でも、どうして?」

「でも佐々木(ささき)さん、この色味だって言い張るのよ……」

「は?」

「姫華、一緒に来てくれる?
私じゃ、ラチあかないのよ…」

「わかった。
━━━━━みんな、あとお願いできる?」

「「「はーい!大丈夫でーす!」」」
仕事を部下に任せ、姫華は元美と会社を出た。


「━━━━絶対、なめてると思うの。佐々木さん」
元美が担当している化粧品を作っている工場に向かいながら、元美が少し怒ったように言う。

佐々木という責任者は、相手によって態度を変えると有名な工場の従業員。

元美が女性で、特に姫華は小柄。
なので、かなり見下している。

「姫華が、ガツンと言ったら聞くと思うの。
あんなだけど、気小さそうだもん!」
「わかった」


工場に着き、元美が話をする。

「━━━━だからぁ!峰岡さんの言う通りに仕上げたんだよ!
だいたい!資料での色と、実際の色にどうしても違いが出るのはしかたないことだろ?
それを、こちらのせいにされてもねー」

「ですから!
こうやって、実際に色味の現物をお持ちしましたよね!?
見てください!全く、色合いが違うじゃないですか!」

「そうかなー?」

「━━━━佐々木さん」
しらばっくれるような佐々木の態度に、姫華が前に出た。
そして、佐々木を見据えた。

「はい?」

「ここでこうやって言い合っていても、前には進めません。
今から再度、作り直していただけませんか?」

「今から!?」

「はい。今からです。
今、峰岡が説明したように“この色味で”お願いします」

「でもね……」

「でも?なんでしょうか?」
姫華の雰囲気が、徐々に落ちていく。
言葉一つ一つに、重みのようなものが出てくる。

「………」
その雰囲気に、佐々木が少したじろいだ。
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