相思相愛・夫婦の日常~マオさん♡ヒメさん編~
「「「マオさん!!」」」

「シゲルに聞いた。
他の店あたるぞ。
ここで言い争っても、何も解決しねぇだろ?」

「でも、マオさん!」
「ナカバ!」

「は、はい…すんません!」

「ん。
で、お前は店長?」
店員に向き直る、真皇。

「あ、は、はい!」

「お前、どっか紹介しろよ」

「え?」

「だって、お前の店のせいなんだろ?
だったら責任をもって、俺達が飲めるところを紹介しろ。
今からでもこの人数を受け入れられる店」

「で、でも……」

「でも?でも、なんだよ」

「………」

姫華はこの光景を見て、イライラしていた。
真皇達の容姿を見て判断しているのが明白だったからだ。

確かに、真皇達は見た目が恐ろしい。
でも、決して手を上げたりしたわけではない。
脅してるわけでもない。

しかし、真皇に「ヒメさんは手を出さないでください」と言われたため、黙って見守っていた。


「━━━━はっきり言ったらどうだ?」
黙ってしまった店長に、真皇が追い打ちをかけるように言った。

「え?」

「“お前等みたいな奴を受け入れる店はない”ってな」

「………」

「シゲル、どうだ?」

「はい、ここなんかどうすか?
今からでも予約入れれるし。
今予約して、ゆっくり歩けばちょうど良いみたいです!」
シゲルが、スマホ画面を見せながら言った。
「ん。
ナカバ達も、行くぞ!」

「「「はい!!」」」
真皇の言葉に、ナカバ達仲間がぞろぞろと店を離れる。


そして真皇が、姫華の元に戻ってくる。
「ヒメさん!
……………ヒメ…さん?泣かないでください…!!」

姫華は、悔しくて悲しくて泣いていた。
ナカバ達も、真皇と姫華を見つめる。

「だって!悔しいじゃないですか!?
マオさん達が何をしたんですか!?
悪いのは、お店側じゃないですか!?」
「はい。そうですね」

「もちろん、ここで言い争っても何も解決しないけど、対応が酷すぎます!!」
「はい、わかります」

涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら訴える姫華。
それを真皇は、冷静に穏やかに対応する。

「マオさんは、誰よりも素敵な男性です!」
「フフ…ありがとうございます!ヒメさんに言われると、凄く嬉しいです!」

「どうして、誰もわかってくれないんですか!?
どうして、見た目で判断するんですか!?
見た目が良ければいいのなら、見た目が優しそうなら罪を犯して良いんですか!?」

わかっている。
こんなこと言ったところで、何も変わらない。
往生際も悪い。

でも━━━大切な真皇をバカにされて、黙っていられるわけなかった。

「ヒメさん、もう大丈夫ですから。
ヒメさんの気持ちはよくわかりました!」

「やっぱり、抗議させてください!」

「ヒメさん!!」

「マオさん…」

「ダメですよ。
そんなことしたら、今度はヒメさんが加害者になります。
そんなの嫌です。
ね?
店なんて、いくらでもある。
俺達みたいな奴を、受け入れてくれるところだってありますから!」
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