相思相愛・夫婦の日常~マオさん♡ヒメさん編~
「佐々木さんが無理なら、他の社員さんに私が頭を下げてお願いしますね」

工場の中に向かおうとする、姫華。

「ちょっ…なにやってるんだよ!!」

「時間がないんです!!
私達は、来月の発売に合わせて色々準備をしてます。
ここで言い合ってる時間も惜しいんです」

「君は、僕達に残業しろって言ってるの!?
女だからって、なめて━━━━━」
「はぁ?
“女だから”ってなんですか?
それ、関係ないですよね?」
姫華は、佐々木を見据えて話す。

いつもそうだ。
相手が誰であっても。

ただ、真っ直ぐ━━━━━━

「……………あ…いや……」

「どうしても無理だとおっしゃるなら、他をあたります。
私はこれでも個人的に、佐々木さんの工場が一番丁寧で、意向にも適切に対応してくれるから信頼してるんです。
だから、どうしてもここで作っていただきたいんですが……
無理なら、仕方ありません。
━━━━━元美、他あたろ!
ほんとに時間ないから!」

「ん」
姫華と元美が去ろうとする。

「ま、待ってくれ!!
わかった!すぐに、取りかからせるから!」
佐々木に引き留められ、なんとか話がまとまった。


「━━━━━ありがとう、姫華!」
会社に戻る途中、元美が微笑み言った。

「ううん!良かったね!」

「てか、ほんと凄いよね……(笑)」

「ん?」

「その小さな身体からは、想像できないくらい強いんだもん!(笑)
何があっても姫華は、目を逸らさない。
真っ直ぐ相手を見て話す。
この前なんか、元ヤンの強面社長に食ってかかってたもんね(笑)」

「だって、ヤらしい目で見るんだもん!」

「やめてください。
そうゆうことをしたいのなら、プロの所へどうぞ?
…………だってー!」

「フフ…そしたら、シュンってなったよね(笑)
ワンちゃんみたいだった!」

「まぁ…強面旦那を持つ姫華からすれば、なんてことないか!(笑)」
「フフ…」



会社に戻り、仕事に取りかかる。

“定時で帰り、マオさんに抱き締められたい!”
そんな思いで、仕事を終わらせるべく集中する。

ランチの時間になり、元美が声をかけてきた。

「姫華ー、ランチしよ?」
「うん!」

「天気良いし、外行こうよ!」
「OK!」

ランチバッグを持って、会社を出た。

会社から徒歩5分の所にある、小さな公園。
姫華と元美のお気に入りだ。

風が気持ちよく、緑も多い。
遊具は一切なく、ベンチが数個と東谷があるだけのシンプルな公園。

しかし、静かで穏やかな空間なのだ。

「わぁー、相変わらず美味しそうね!」
「うん!」
(さすがマオさん!!
見た目も綺麗~!)

プロが作ったかのような、弁当。
見るだけでも、楽しい。

姫華は幸せな気持ちで口に入れ、味わって食べたのだった。
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