相思相愛・夫婦の日常~マオさん♡ヒメさん編~
姫華にも、真皇に言えなかった秘密がある━━━━━━


それは………


尾上(おがみ) 安子(やすこ)
姫華が、中学生の時の親友だ。

安子は、姫華とは正反対だった。
容姿、性格や地頭、全て。

ぽっちゃり体型で、冴えない顔。
卑屈で大人しい。
勉強もあまり得意ではない。
でも優しくて、物腰の柔らかい安子。

姫華は、その安子の性格が眩しかった。

気が強く、相手が男子でも食ってかかる姫華。
安子のような、穏やかな心の広さがなかったから。


そんな安子。

クラスメートにからかわれることが多かった。
からかわれる程度で済んでいたのは、姫華がいつも守っていたから。

もし姫華がいなければ、確実にいじめられていただろう。

友人からは『姫華。やめなよ!あんなデブでブスと仲良くすんの』とよく言われていた。

『は?デブでブスって誰のこと?』

『安子のこと!
は?まさか、可愛いとでも思ってんの?(笑)
姫華、目ぇ悪いんじゃない?(笑)』

『それ、そっくりそのまま返すから!
ブスってのはね!
あんたみたいな、女を言うんだよ!!』


『姫華』
『んー?』

『もう、やめなよ。喧嘩。
私は大丈夫だから、私のために喧嘩やめて?』

『は?腹立つでしょ?
安子は、大切な親友だもん!
親友をあんな言い方されたら、腹立つに決まってんじゃん。
安子は違うの?』

ある日。
安子が言ってきたのだ。
“庇うのはやめてほしい”と。

『私は……』

『安子は、私が傷つけられても平気なの?』

『そんなことないよ!』

『でしょ?』

『でも……』

『ん?』

『姫華みたいに戦えない』

『………』

『………ごめん…』

『は?
ごめん…って、何?
安子は、見てみぬフリするってこと?
もしくは、一緒になっていじめるとか?』

『あ…』
安子の態度は、肯定を示していた。

『…………最低…』
思わず、呟く姫華。

『え?あ…そ、そうだよね…』

『もう、いい!
帰る!』

姫華は強がっていたが、心は深く傷ついていた。
あまりにもショックで、悲しくて、苦しくて…それから三日間学校を休んだ。


そして、四日後。
学校に登校すると━━━━━━━


『尾上さんが、亡くなりました』

安子が自殺し、帰らぬ人になっていた。
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