いじめられ少女が腹黒優等生の一軍男子に溺愛されるまでの青春ラブストーリー【高嶺の君とキズナを紡ぐ】
5年生の時までは遊んでたのに、6年生になると自然に遊ぶ機会は減って、中学生では部活で忙しくなったちなちゃんに遠慮して、わたしから話しかけることも無くなってしまった。遊ばなくなって1年も経ったのに、ちなちゃんは、わたしのことをずっと忘れないで心配してくれてたんだ。
「ちなちゃんは何でまだ学校に残ってるの? 部活終わったんでしょ?」
「それがさぁ、聞いてよなるちゃん! 家に着いてから、学校にスマホ忘れてるのに気づいて、急いで取りに来たの!」
「そっかぁ、それは大変だったね」
「でも、そのおかげでなるちゃんと会えたから、スマホ忘れてよかったかも!」
頬をほわっとピンクに染めて笑う。わたしが知ってる昔のちなちゃんの面影がそのままあって、なんだか心があったかくなった。
「わたしも、ちなちゃんに会えてよかったよ!」
スマホのことは大変だったとは思うけど、こうして会えたのは、わたしにとってはすごい奇跡だ。もしわたしが学校でテストを受けていなかったら、ずっとちなちゃんと会えないままだったかもしれない。
「それよりさ、なんで篠原くんと一緒なの? え、どういう関係!?」
ちなちゃんの目が、一瞬にして好奇心でキラキラに輝いた。ちなちゃんて昔からすごい表情がころころ変わって可愛いんだよな。
わたしは、ちなちゃんの質問にどう答えたらいいのかわからずに困っていた。篠原くんは、わたしと仲が良いなんて思われたくないだろうし……。
「あの……それは、その、篠原くんは……」
「津田さんとは、最近仲良くさせてもらっているんだ」
言い淀むわたしの言葉を遮るように、篠原くんが割って入ってきた。仲が良いなんて言っちゃって大丈夫なんだろうか。心配になる半面、意外だった。
「えっ、ちょっ、なるちゃん、篠原くんと仲良いの? すごいよなるちゃん! 篠原くんと友達になれる女の子、学校にいないよ!?」
興奮したちなちゃんが、すごいすごいと、わたしの両手をブンブンふり回した。
「ねぇねぇ、せっかくだから、途中まで一緒に帰ろ? なるちゃんのお話聞きたい!」
「いやぁ……わたし家にいるだけだし。楽しい話なんてないよ……」
ちなちゃんにがっちり腕を組まれて、成すがまま外に出る。こっそり後ろを振り返ると、篠原くんと目が合った。え、何その笑顔。どういう意味の笑顔?
「なるちゃん、今度遊びに行ってもいい? 一緒にお菓子つくろうよ!」
「うん、絶対遊ぼう! ちなちゃんが来てくれたら、お母さん喜ぶよ!」
昔はよく2人でお話ししながら、お絵かきしたり、ビーズでネックレス作ったりして遊んだなぁ。
「折角だし、篠原くんも一緒に遊ぼ!」
ちなちゃんがわたしに抱き着いたまま、篠原くんの方へ振り向いた。
「いいの? 俺が居たら迷惑じゃない?」
「ぜんぜん、気にしないよ! せっかくお菓子作るんだったら誰かに食べてもらいたいじゃん。篠原くんもいたら、絶対楽しいよ!」
「そう? それなら混ぜてもらおうかな」
初対面の篠原くんを誘えるなんて。ちなちゃん、コミュ力高いなぁ。
*
「ちなちゃん、全然変わってなかったなぁ」
ちなちゃんと別れた後も、わたしは、ちなちゃんと会えたことの喜びを噛み締めていた。なつかしさに心がポカポカしている。連絡先も交換したし、次にまた会える日が楽しみだ。
「元気な子だったね」
隣と歩く篠原くんが、穏やかに言った。
「はい。ちなちゃんは元気で明るくて、とってもいい子なんです!」
だって、未だにわたしのことを親友だなんて言ってくれるんだもん。わたしとちがって社交的で、女の子も、男の子も、関係なく友達になれちゃう。わたしはいつも、そんなちなちゃんに憧れていたっけ。
「そう、良かったね」
篠原くんが緩やかに笑って頷く。さっきから、何かが含まれているような意味深なものを感じ取って、わたしは警戒した。篠原くんといて分かったことは、笑顔にもいろんな意味があるということだ。普通にいい意味の時もあれば、悪い時もある。
「……津田さん、ご褒美の話なんだけど」
「え、あ、はい」
そういえば、学校でその話してる途中だった。ご褒美ってなんだろう。不安半分、期待半分。ご褒美って言うくらいだから、嬉しいものであってほしい。
篠原くんの手がわたしの方へ伸びてくる。へ、へ、なに!? ままま、まさかこれって、憧れの頭なでなで!? このブタに、そんな破格なご褒美をもらえちゃうの!??
篠原くんの手は、むにっとわたしのほっぺをつまんだ。
「お預け」
ほっぺはすぐに解放してくれた。緩くつままれただけなので、痛くはない。
「じゃあね」
いたずらっぽく笑う篠原くんは、すごく新鮮だ。頬をさすりながら、後姿をぼうぜんと眺める。
「これをご褒美と言うのでは……?」
篠原くん、あんたのそれは無自覚なの?
この人は今まで一体何人の人をそうやって殺してきたんだろう。篠原くんの後ろに、たぶらかされて敗れていった人たちの死体の山が積みあがっているのが見えてぞっとした。
*★*―――――*★*―――――*★*―――――
【本田 稚奈】
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【キャラクタープロフィール一覧】
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「ちなちゃんは何でまだ学校に残ってるの? 部活終わったんでしょ?」
「それがさぁ、聞いてよなるちゃん! 家に着いてから、学校にスマホ忘れてるのに気づいて、急いで取りに来たの!」
「そっかぁ、それは大変だったね」
「でも、そのおかげでなるちゃんと会えたから、スマホ忘れてよかったかも!」
頬をほわっとピンクに染めて笑う。わたしが知ってる昔のちなちゃんの面影がそのままあって、なんだか心があったかくなった。
「わたしも、ちなちゃんに会えてよかったよ!」
スマホのことは大変だったとは思うけど、こうして会えたのは、わたしにとってはすごい奇跡だ。もしわたしが学校でテストを受けていなかったら、ずっとちなちゃんと会えないままだったかもしれない。
「それよりさ、なんで篠原くんと一緒なの? え、どういう関係!?」
ちなちゃんの目が、一瞬にして好奇心でキラキラに輝いた。ちなちゃんて昔からすごい表情がころころ変わって可愛いんだよな。
わたしは、ちなちゃんの質問にどう答えたらいいのかわからずに困っていた。篠原くんは、わたしと仲が良いなんて思われたくないだろうし……。
「あの……それは、その、篠原くんは……」
「津田さんとは、最近仲良くさせてもらっているんだ」
言い淀むわたしの言葉を遮るように、篠原くんが割って入ってきた。仲が良いなんて言っちゃって大丈夫なんだろうか。心配になる半面、意外だった。
「えっ、ちょっ、なるちゃん、篠原くんと仲良いの? すごいよなるちゃん! 篠原くんと友達になれる女の子、学校にいないよ!?」
興奮したちなちゃんが、すごいすごいと、わたしの両手をブンブンふり回した。
「ねぇねぇ、せっかくだから、途中まで一緒に帰ろ? なるちゃんのお話聞きたい!」
「いやぁ……わたし家にいるだけだし。楽しい話なんてないよ……」
ちなちゃんにがっちり腕を組まれて、成すがまま外に出る。こっそり後ろを振り返ると、篠原くんと目が合った。え、何その笑顔。どういう意味の笑顔?
「なるちゃん、今度遊びに行ってもいい? 一緒にお菓子つくろうよ!」
「うん、絶対遊ぼう! ちなちゃんが来てくれたら、お母さん喜ぶよ!」
昔はよく2人でお話ししながら、お絵かきしたり、ビーズでネックレス作ったりして遊んだなぁ。
「折角だし、篠原くんも一緒に遊ぼ!」
ちなちゃんがわたしに抱き着いたまま、篠原くんの方へ振り向いた。
「いいの? 俺が居たら迷惑じゃない?」
「ぜんぜん、気にしないよ! せっかくお菓子作るんだったら誰かに食べてもらいたいじゃん。篠原くんもいたら、絶対楽しいよ!」
「そう? それなら混ぜてもらおうかな」
初対面の篠原くんを誘えるなんて。ちなちゃん、コミュ力高いなぁ。
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「ちなちゃん、全然変わってなかったなぁ」
ちなちゃんと別れた後も、わたしは、ちなちゃんと会えたことの喜びを噛み締めていた。なつかしさに心がポカポカしている。連絡先も交換したし、次にまた会える日が楽しみだ。
「元気な子だったね」
隣と歩く篠原くんが、穏やかに言った。
「はい。ちなちゃんは元気で明るくて、とってもいい子なんです!」
だって、未だにわたしのことを親友だなんて言ってくれるんだもん。わたしとちがって社交的で、女の子も、男の子も、関係なく友達になれちゃう。わたしはいつも、そんなちなちゃんに憧れていたっけ。
「そう、良かったね」
篠原くんが緩やかに笑って頷く。さっきから、何かが含まれているような意味深なものを感じ取って、わたしは警戒した。篠原くんといて分かったことは、笑顔にもいろんな意味があるということだ。普通にいい意味の時もあれば、悪い時もある。
「……津田さん、ご褒美の話なんだけど」
「え、あ、はい」
そういえば、学校でその話してる途中だった。ご褒美ってなんだろう。不安半分、期待半分。ご褒美って言うくらいだから、嬉しいものであってほしい。
篠原くんの手がわたしの方へ伸びてくる。へ、へ、なに!? ままま、まさかこれって、憧れの頭なでなで!? このブタに、そんな破格なご褒美をもらえちゃうの!??
篠原くんの手は、むにっとわたしのほっぺをつまんだ。
「お預け」
ほっぺはすぐに解放してくれた。緩くつままれただけなので、痛くはない。
「じゃあね」
いたずらっぽく笑う篠原くんは、すごく新鮮だ。頬をさすりながら、後姿をぼうぜんと眺める。
「これをご褒美と言うのでは……?」
篠原くん、あんたのそれは無自覚なの?
この人は今まで一体何人の人をそうやって殺してきたんだろう。篠原くんの後ろに、たぶらかされて敗れていった人たちの死体の山が積みあがっているのが見えてぞっとした。
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