いじめられ少女が腹黒優等生の一軍男子に溺愛されるまでの青春ラブストーリー【高嶺の君とキズナを紡ぐ】
あれこれ必死に言い訳するも、篠原くんは返事もしない。何をそんなに怒ってるんだか。些細なことで不貞腐れてたらカッコ悪いぞ。不貞腐れている篠原くんは、アンニュイな感じで何時間でも眺められてしまうほどには美しいんだけど。
「あ、そうだ、篠原くん。宿題の採点しなくていいんですか? わたし、ちゃんとやりましたよ。ほらほら」
数学の問題集を開いて、篠原くんに見せる。今回の宿題は、苦手だった公式の応用問題だったから、個人的にかなり頑張ったと思う。
勉強の話になって少しだけ気を引かれたらしく、篠原くんの気怠げな顔がわたしの方へ向けられた。
「全部間違えてる」
うふぇぇっ、このページ全部!? 昨日の夜、結構おそくまで起きて頑張って解いたのに!?
わたしが慌てて問題集を確認してる間に、篠原くんのお顔はまたそっぽ向いてしまった。
「別に、津田さんが勉強をさぼろうとしているのが残念で落ち込んでいるわけじゃない。俺がいない間、少しくらいは自習する時間があったんじゃないかなんて期待していたわけでもないし」
すみませんね、不真面目な生徒で。
「じゃあ、何があったんですか?」
「勉強を見るって約束したのは俺なのに、事故を起こして遅れた自分が許せない」
「そんなに責任を感じなくても……」
あーもう面倒臭いなこの人。そりゃあ、約束を守ろうとしてくれるのは嬉しいけど、わたしとしては、もう少し勉強をゆるくしてもらえると嬉しいんだけどなぁ。
「事故って、何があったんですか?」
「……今日の体育の時間に、女の子にボールを当ててしまって……」
やっと篠原くんも話をする気になったらしく、学校での出来事を教えてくれた。
「篠原くん、その子からお礼をもらったんですよね。なら、気に病む事はないじゃないですか。付き添ってくれたことに感謝しているみたいだし、これ食べて元気出しましょうよ」
マフィンが入ったタッパーを、突っ伏している咲乃のそばに差し出す。ちゃんと形もきれいに整ってるし、美味しそうなマフィンだ。
「ほーら、マフィンですよ~。篠原くんが食べないと、わたしが全部食べちゃいますよ~」
タッパーのふたを少しだけ開いて、マフィンのおいしそうな香りを送っていると、また顔だけを向けられて、やっと目が合った。
「女の子から手作りお菓子くれるなんて貴重なイベント、ありがたく受け取ってあげないとじゃないですか」
「別に欲しくない」
いい加減にしろよ、おい。世の中には、もらえない人もいるんだぞ。
篠原くんは、気怠げに顔をこちらに向けた。
「津田さんも一緒に食べよう?」
うーん、それはどうかな。とても美味しそうではあるけれど。
「これをくれた子は、篠原くんに食べてもらいたいんじゃないですかね」
だってほら、女の子が篠原くんに渡したってことは、そう言うことだと思うし。
「手作りは受け取るとキリが無いから、普段は受け取らないようにしているんだ」
篠原くんが、ふいと顔をそらしてむくれてしまった。
「えー! 折角もらったんだから、今回くらいは食べてあげましょうよ。その子悲しみますよ!!」
食べないと勿体ないよ。こんなに美味しそうなのに。
わたしの内なる声に呼応して、正直なお腹がぐぅと鳴った。その音を耳ざとく聞いて機嫌の悪かった篠原くんの顔が少し緩んだ。
「津田さんが食べたいって言うのなら一緒に食べてあげるけど」
「う、うーん……」
……そっか。それなら仕方ないな。だって、わたしが一緒に食べないと、篠原くんはこの美味しそうなマフィンを食べないって言うんだもん。それは女の子に失礼だし、何よりこの世に生まれてきたマフィンがかわいそうだ。生まれてきたマフィンに罪はない。
「……じゃあ、少しだけいただきます」
はー、食べた食べた。マフィンめちゃくちゃ美味しかったな。ほとんどわたしが食べた気がするけど。
美味しいマフィンに満足していると、お母さんから事付けをもらっていたのを思い出した。
「あ、そうだ、篠原くん。折角だから、今夜はうちで食べて行きませんか? お母さんが、この間わたしがごちそうになったお礼に、篠原くんを誘っておけといわれまして」
「うん。ぜひご馳走になるね!」
お母さんの手料理と聞いて、篠原くんの顔にぱぁっと笑顔が広がった。どうやら手作り料理対決は、うちのお母さんの圧勝のようだ。
*★*―――――*★*―――――*★*―――――
【山口 彩美】
https://bkumbrella.notion.site/9ce9075457154205ba699f34fd32cd83?pvs=4
【キャラクタープロフィール一覧】
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個人サイト
【Alanhart|THE MAGICAL ACTORS】
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「あ、そうだ、篠原くん。宿題の採点しなくていいんですか? わたし、ちゃんとやりましたよ。ほらほら」
数学の問題集を開いて、篠原くんに見せる。今回の宿題は、苦手だった公式の応用問題だったから、個人的にかなり頑張ったと思う。
勉強の話になって少しだけ気を引かれたらしく、篠原くんの気怠げな顔がわたしの方へ向けられた。
「全部間違えてる」
うふぇぇっ、このページ全部!? 昨日の夜、結構おそくまで起きて頑張って解いたのに!?
わたしが慌てて問題集を確認してる間に、篠原くんのお顔はまたそっぽ向いてしまった。
「別に、津田さんが勉強をさぼろうとしているのが残念で落ち込んでいるわけじゃない。俺がいない間、少しくらいは自習する時間があったんじゃないかなんて期待していたわけでもないし」
すみませんね、不真面目な生徒で。
「じゃあ、何があったんですか?」
「勉強を見るって約束したのは俺なのに、事故を起こして遅れた自分が許せない」
「そんなに責任を感じなくても……」
あーもう面倒臭いなこの人。そりゃあ、約束を守ろうとしてくれるのは嬉しいけど、わたしとしては、もう少し勉強をゆるくしてもらえると嬉しいんだけどなぁ。
「事故って、何があったんですか?」
「……今日の体育の時間に、女の子にボールを当ててしまって……」
やっと篠原くんも話をする気になったらしく、学校での出来事を教えてくれた。
「篠原くん、その子からお礼をもらったんですよね。なら、気に病む事はないじゃないですか。付き添ってくれたことに感謝しているみたいだし、これ食べて元気出しましょうよ」
マフィンが入ったタッパーを、突っ伏している咲乃のそばに差し出す。ちゃんと形もきれいに整ってるし、美味しそうなマフィンだ。
「ほーら、マフィンですよ~。篠原くんが食べないと、わたしが全部食べちゃいますよ~」
タッパーのふたを少しだけ開いて、マフィンのおいしそうな香りを送っていると、また顔だけを向けられて、やっと目が合った。
「女の子から手作りお菓子くれるなんて貴重なイベント、ありがたく受け取ってあげないとじゃないですか」
「別に欲しくない」
いい加減にしろよ、おい。世の中には、もらえない人もいるんだぞ。
篠原くんは、気怠げに顔をこちらに向けた。
「津田さんも一緒に食べよう?」
うーん、それはどうかな。とても美味しそうではあるけれど。
「これをくれた子は、篠原くんに食べてもらいたいんじゃないですかね」
だってほら、女の子が篠原くんに渡したってことは、そう言うことだと思うし。
「手作りは受け取るとキリが無いから、普段は受け取らないようにしているんだ」
篠原くんが、ふいと顔をそらしてむくれてしまった。
「えー! 折角もらったんだから、今回くらいは食べてあげましょうよ。その子悲しみますよ!!」
食べないと勿体ないよ。こんなに美味しそうなのに。
わたしの内なる声に呼応して、正直なお腹がぐぅと鳴った。その音を耳ざとく聞いて機嫌の悪かった篠原くんの顔が少し緩んだ。
「津田さんが食べたいって言うのなら一緒に食べてあげるけど」
「う、うーん……」
……そっか。それなら仕方ないな。だって、わたしが一緒に食べないと、篠原くんはこの美味しそうなマフィンを食べないって言うんだもん。それは女の子に失礼だし、何よりこの世に生まれてきたマフィンがかわいそうだ。生まれてきたマフィンに罪はない。
「……じゃあ、少しだけいただきます」
はー、食べた食べた。マフィンめちゃくちゃ美味しかったな。ほとんどわたしが食べた気がするけど。
美味しいマフィンに満足していると、お母さんから事付けをもらっていたのを思い出した。
「あ、そうだ、篠原くん。折角だから、今夜はうちで食べて行きませんか? お母さんが、この間わたしがごちそうになったお礼に、篠原くんを誘っておけといわれまして」
「うん。ぜひご馳走になるね!」
お母さんの手料理と聞いて、篠原くんの顔にぱぁっと笑顔が広がった。どうやら手作り料理対決は、うちのお母さんの圧勝のようだ。
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