生贄教室
絶対に、この手で。
「もう、清はいないよ?」
歪んだ笑みを浮かべて妙子が呟いた。
「え……」

「花子ちゃんをイジメていた清はもういない。つまり、あんただって用無しってこよ」
妙子の言葉が胸に突き刺さる。
用無し。
俺はもう花子ちゃんにとって必要のない人間なのか?

呆然としていると仁が近づいてきて強引に立ち上がらされた。
咄嗟に暴れて手を解く。
けれど今度は雄太に腕を掴まれた。

「なにすんだよ、離せよ!」
右側を雄太。
左側を仁に拘束されて無理やりベランダへ向かう。

さすがに男二人を振り切ることは難しかった。
ベランダへと続くドアを妙子が開けた。
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