生贄教室
外は土埃が舞い上がっていて、化け物がどこにいるのか判断がつかない。
そんな中、利秋の体はベランダへ放り出されていた。
すぐにドアに鍵が掛けられて、妙子と仁と雄太の３人が教室の奥へと戻っていく。

「嘘だろ……なんで俺が……」
呟く声がカラカラに乾燥している。
なんで次のターゲットにされてしまったのか、それは今までの話し合いでよくわかっていたことだった。

「俺はただ、守りたかった。好きな子を……花子ちゃんを……」
知らない間に頬に涙がこぼれていた。
自分が今から死ぬことよりも、もう花子ちゃんに会えないことの方が辛かった。

「花子ちゃん！」
一瞬、教室内に花子ちゃんの幻影が見えて叫んでいた。
花子ちゃんはこちらに手を振って笑っている。

口元は「ばいばい」と動いているのが見えた。
もう会えない。
もう話せない。
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