生贄教室
床に直接座り込んで郁の肩を抱く。
「うぅ……」
郁は自分が怒鳴ってしまった余韻のためか、今更涙が溢れ出してきた。

あんなこと言うつもりはなかった。
こんなことになった原因は雄太じゃないとわかっているのに、今までの疲れやストレスが爆発してしまったのだ。
「雄太のことなんかほっといて、自分の行きたい高校に行くようにしていればよかった」

「郁はなにも悪くないから、大丈夫だよ」
好きな人とずっと一緒にいたい気持ちはよくわかる。
そのために、ちょっとだけ自分の意思を変えてしまうことだって。

恵子はそっと郁に耳打ちをした。
「正直、雄太とは別れた方がいいと思う」
「え?」

突然の言葉にとまどいの表情を浮かべる。
恵子は更に言葉を続けた。
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