生贄教室
恵子が話している間に外が騒がしくなっていた。
また、化け物が暴れ始めたのだ。
再び体育館を破壊しはじめて、土埃が舞い上がる。

すでに10時が近くなっているから、その様子は月明かりで照らし出されていた。
「恵子」
名前を呼んだのは妙子だった。
妙子はベランダへ向けて指を指している。

それがどういう意味になるのか、美麗はすぐに理解した。
化け物は暴れだした。
次の生贄はお前だ。
そう、伝えているのだ。

「は……? なんで私が?」
恵子の顔が歪んだ。
いつもクールであまり表情を表に出さない恵子が焦っている。

「わけわかんないんだけど」
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