生贄教室
冷静を装ってはいるけれど、その声は震えている。
雄太と郁を引き離して終わるはずが、完全に失敗してしまった。
全員の視線が恵子の体を射抜く。

「郁。どう思う?」
そう質問したのは仁だった。
郁は大きく目を見開き、それから恵子から視線をそらした。

「私は、次の生贄は恵子がいいと思う」
小さいけれど、ハッキリとした声だった。
それは残っている生徒たち全員に届いた。

「なに言ってんの? それならあんたの方が適任じゃん! 脂肪が沢山ついてる分、化け物だって満足する!」
バケの皮が剥がれた恵子は醜く唾を吐きながら怒鳴る。

雄太が郁の手を引いて引き寄せた。
そして避難の表情を恵子へ向ける。
「俺も、恵子がいいと思う」
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