生贄教室
恵子の本性は、もう知っている。
これから先一緒にいれば、郁が攻撃される可能性だってある。
だから唇を引き結んで恵子ににじり寄った。

恵子はついに壁に到達した。
壁の横にはベランダへ出るためのドアがある。
更に逃げようとすれば、ベランダへ出るしか道はない。

「行けよ」
仁が促す。

恵子は左右に首を振って拒絶した。
「行け」
「行け」
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