生贄教室
それは呪文のように恵子を追い詰める。
ここに自分の味方は誰もいない。
抵抗しても無駄だと言われている気持ちになる。

実際に、ここで逃走しようとしてもきっと無駄だ。
仁あたりに殴られて、引き戻される可能性がある。
恵子は誰かに脅迫されているかのように手探りでドアノブを回した。

ギッと音がしてベランダへ続くドアが開く。
風を背中に感じたと思った次の瞬間、妙子の体を押されてベランダに倒れ込んでいた。

痛みを感じている間にドアは閉められて、鍵がかけられた。
みんなが自分を見ている。
表情のない顔でジッと見つめられると、誰が誰だかわからなくなった。

ただ同じ制服を着て立っている男女。
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