生贄教室
文句を言いながら妙子は理沙に近づいてく。
そして仁の回答を確認しはじめた。
何度も何度も、目で追って確認するが妙子はなにも言わなかった。

点数は間違えていない。
仁は本当にこの中では最下位だったのだ。
愕然とする妙子に仁が「もういいよ」と、呟いた。

「でもっ……こんなのおかしいよ! 仁は成績良かったじゃん!」
必死になる妙子に仁は左右に首を振った。

「俺の成績が良かったのは2年生までだ。3年に上がってから急に悪くなってきた」
「冗談だよね? だってそんなこと一言も言ってなかったじゃん」
「言えなかったんだよ! 小学校時代からずっと一緒にいたから。言えなかったんだ」
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