生贄教室

☆☆☆

妙子と仁は家の近い幼馴染だった。
同じ保育園に通い、同じ小学校へ入った。
「仁くん、おはよう！」

小学校低学年の頃はいつも妙子が仁を迎えに玄関先で仁くんおはよう！と声をかけると、中から音が聞こえてきて仁が出てきてくれる。
それから学校までふたり並んで仲良く登校するのだ。

学年が大きくなっても、その日常は変わらなかった。
相変わらず妙子が仁を呼びに行く。

そのうちに仁の母親から「まだ寝てるから、起こしてやってくれない？」と、頼まれるようにもなった。
仁はどんどん朝が弱くなってきて、高学年になるころには妙子が呼びに行く時間にもまだ寝ていたからだ。

仁は寝坊する理由を遅くまでゲームしているからだと言っていたけれど、妙子は仁が遅くまで勉強そていることを知っていた。