生贄教室
１年前に仁が大好きだった祖母がガンで亡くなってから、医者になるんだと決めたのだと、仁の母親から聞かされていたのだ。
「私も勉強頑張ろうかなぁ」

ふとそんなことを呟いたのがきっかけで、ふたりで勉強する時間が増えていった。
学校が終わったら仁の家に言って、宿題と勉強をする。

仁の部屋には沢山の難しい本が並んでいて、どれもが医学に関するものだった。
「仁すごいね。こんな本を読めるようになったの？」
本を開いてみても全くわからない言葉だらけだ。

「ううん、まだほとんど読めないよ。だけどいつか読めるようになる」
仁は胸を張ってそう言ったのだ。
勉強するようになってからの妙子の成績は右肩上がりだった。

元々そんなに勉強が得意じゃなかったから、これには両親も大喜びした。
自分がいい成績を取れば両親が喜んでくれる。

そう理解した妙子は、仁と同じだけの勉強をスルようになったのだ。
ゆくゆくは同じ高校、同じ大学へ進むこともできるかもしれない。
そんな期待が膨らんでいった。
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