生贄教室
密かにプライドを砕かれた仁はどんどん口が悪くなっていった。
「仁くんってなんか怖いよね」
中学に入学すると女子生徒たちはすぐにそんな噂を立て始めた。

仁はそんな女子生徒を疎ましく感じて「あの子たちがカンニングしていました」と、嘘を教師に教えた。
その時にカンニングペーパーまで用意して、女子生徒の机に忍ばせておくほど、慎重さだった。

女子生徒は見に覚えのない罪で泣き出した。
偽物の証拠品であるカンニングペーパーが見つかったことはすぐにクラス中に知れ渡り、すっかり悪者になった彼女は登校拒否になってしまった。

だけど悪いなんて少しも思わなかった。
余計なことを言ってきた相手が悪いんだ。
< 144 / 222 >

この作品をシェア

pagetop