生贄教室

きっと、泣きつかれてしまったんだろう。
スースーと立てる寝息は深く、起きる気配はない。
雄太はゴクリと唾を飲み込んで他の面々へ視線を送った。

毛布を元に戻すと「妙子は眠ってる」と、小声で伝える。
その瞬間、外から大きな音が聞こえてきた。

化け物が破壊行動を再開したのだと思ったが、それは化け物がグラウンドを歩く足音だった。
大きくなったせいで足音だけで建物が揺れる。

グラウンドの地面もひび割れて、いつ建物が倒壊してもおかしくはなかった。
「早く次の生贄を！」
理沙が叫んだ。

雄太と郁が目を見交わせる。
「今の内に妙子をベランダに出すんだ」
雄太が決心した声色でそう告げたのだった。