生贄教室
☆☆☆

妙子は仁と仲が良かった。
幼馴染で、いつも一緒にいたからなんとなく引っ張られて同じような遊びをしてきた。
男の子たちにまざってサッカーをしたり、かけっこをするのも好きだった。

だから、人が勉強を頑張り始めたと知ったとき、一緒に頑張ろうと思ったんだ。
勉強が嫌いな自分でも、仁と一緒ならできる気がしたから。
「これはこうで、こっちはこうやるんだよ」

テーブルを挟んで仁は丁寧に勉強を教えてくれた。
そのおかげて妙子の成績はみるみる上がってきた。
「仁が勉強を教えてくれたんだよ」

両親に褒められて嬉しいときも、すぐに仁のおかげだと伝えた。
仁と一緒にいると嬉しい楽しい、全部がうまくいく。
そんな気がしていた。

だけど中学に上がってから、仁の成績は伸び悩んだ。
遅れて勉強を始めた妙子の方がよくなったくらいだった。
だけど仁のことだから、またきっといい点数を取り始めると妙子は信じていた。
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