生贄教室
仁と同じでいたかったから。
誰かを笑ったら心がスッとした。
楽しかった。

同時に強い罪悪感もあったけれど、それは全部見ないふりをした。
誰かを傷つける度に自分の心がスカスカになっていく気がした、
だけどそれも仁と同じだったのだ。

ある日、仁が1人で泣いているのを目撃してしまったから。
「仁、どうしたの?」
誰もいなくなったS組の教室内で仁はひとりで泣いていた。

「別に、なんでもない」
慌てて涙を拭って答える。
だけどごまかせていない。

私をごまかすことなんて、仁にはできっこない。
「なにかあった?」
「……また、悪いことしちゃった」
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