生贄教室
小さな手に引かれて幸せな笑みを浮かべて-―。
ずっと見ていたい夢だったのに、その夢は唐突に途切れた。
次に現れたのは夜の校舎だった。

幼い姿のままの美麗はS組に閉じ込められている。
外へでようとしても、ドアが開かない。
S組は美麗と真っ黒な化け物しかいなくて……。

「キャアッ!」
短い悲鳴と共に飛び起きた。
全身にビッショリと汗をかいていて、心臓が早鐘を打っている。

はぁはぁ息をしながら周囲を見回すと、もうみんな目を覚ましていた。
時計の針を確認すると11時50分を指している。
窓の外の化け物が動き回っているようで、大きな音が聞こえてきていた。

それでさっきの悪夢を見てしまったみたいだ。
「美麗、大丈夫か?」
「昂輝……大丈夫だよ」

頷き、ぬるくなったペットボトルの水を一口飲む。
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