生贄教室
「今、理沙があみだくじを作ってる」
「あみだくじ?」
視線を泳がせると、理沙は自分の席で紙に向かってペンを走らせていた。

「次の生贄を決めるために」
そう言われて息を飲んだ。
「次の生贄……」

化け物はすでに暴れ始めていて、時間に猶予はない。
だからこそ、決断したことだということがわかった。

「でも、そんな決め方でいいの?」
「みんな同意したんだ。もう、それしか方法はない」

「そんな……」
もう少しなにか方法はないだろうかと考えを巡らせてみたけれど、ろくなアイデアは浮かんでこない。

もう、誰かを追い詰めて、犠牲にすることはできなかった。
「できたよ」
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