生贄教室
雄太が悲痛な声を漏らす。
自分か郁が生贄になることが確定してしまった。
離れ離れになってしまう。

ずっとずっと、一緒にいたのに!
それはもうあきだくじをする意味すらなかった。

雄太は紙を奪い取ってビリビリに引き裂いてしまいたい衝動を抑えて、理沙の手元へ視線を向ける。
今は雄太の線をたどっている最中だった。

理沙の手は小刻みに震えて、時折先から赤ペンがはみ出してしまう。
穴が開くほどに見つめたその先にあったのは……空白だった。

雄太の生存が確定する。
と、同時に郁が生贄になることが決まった。
「嘘だろ……」

思わず呟いて郁を見つめた。
青ざめた顔の郁は全身を小刻みに震わせて、浅い呼吸を繰り返している。
理沙はなにも言わずに最後のあみだくじを始めた。
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