生贄教室
☆☆☆
雄太との思い出は楽しいものばかりだった。
勉強を教えてもらったときも、一緒にデートしたときもどれもこれもが七色に輝いている。
郁が一番心に残っているのは、今年の自分の誕生日の日だった。
その日は平日だったし、学校もあったから大きなお祝いは期待していなかった。
だけど雄太は放課後になると郁を誘って電車に乗り、海の見える丘に連れて行ってくれたのだ。
それは郁が雑誌で見て「いつか一緒に行ってみたいね」と話していた場所だった。
丘の上にはおしゃれなカフェがあって、そこでケーキを注文した。
チョコレートのプレートに書かれた《郁、誕生日おめでとう!》という文字に少し照れたりしながら、ふたりで楽しい時間を過ごした。
そして外へ出ると、ちょうど西日が丘を照らしていたのだ。
この夕日が見たかったんだ。
海に映るオレンジ色の夕日はキラキラと輝いてまるで宝石みたいだった。
ふたりで手をつないて丘からそれを見下ろすと、ふたりだけの世界に入り込んだかのような錯覚を覚える。
それから言葉はいらなかった。
雄太との思い出は楽しいものばかりだった。
勉強を教えてもらったときも、一緒にデートしたときもどれもこれもが七色に輝いている。
郁が一番心に残っているのは、今年の自分の誕生日の日だった。
その日は平日だったし、学校もあったから大きなお祝いは期待していなかった。
だけど雄太は放課後になると郁を誘って電車に乗り、海の見える丘に連れて行ってくれたのだ。
それは郁が雑誌で見て「いつか一緒に行ってみたいね」と話していた場所だった。
丘の上にはおしゃれなカフェがあって、そこでケーキを注文した。
チョコレートのプレートに書かれた《郁、誕生日おめでとう!》という文字に少し照れたりしながら、ふたりで楽しい時間を過ごした。
そして外へ出ると、ちょうど西日が丘を照らしていたのだ。
この夕日が見たかったんだ。
海に映るオレンジ色の夕日はキラキラと輝いてまるで宝石みたいだった。
ふたりで手をつないて丘からそれを見下ろすと、ふたりだけの世界に入り込んだかのような錯覚を覚える。
それから言葉はいらなかった。