生贄教室
どれだけふたりが力を合わせようとも、反発する気でいる。
理沙はさっきこっそりスカートのポケットにその忍ばせたカッターナイフの感触を指先で確認した。
ふたり相手に力だけで叶うはずがない。

1人は男だし、昂輝もかなりの腕力がありそうだ。
そんなふたりから身を守るためには武器を持つしか方法はなかった。

理沙の心臓は早鐘を打っているが、それを悟られないようにふたりから少し距離を置いて座った。
美麗と昂輝は黙り込んでいてなにも会話していないように見える。

だけど、理沙がトイレに行っている間に密かに計画を練ることはできたはずだ。
絶対に油断しちゃいけない。

理沙はカラカラに乾いた喉でゴクリと唾を飲み込んでふたりの様子を観察した。
ふたりとも自分と同じでかなり疲弊している。

美麗はさっきからずっと目を閉じているから、もしかしたら眠っているのかもしれない。
隣の昂輝は呆然とした表情で窓へ視線をむけている。
その顔からはなにを考えているのか読み取ることができなかった。
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