生贄教室
懐かしそうに目を細める昂輝。
ふたりがつきあい始めたのは高校３年生に上がってからだった。
同じSクラスになったことをきっかけに急激に距離が縮まった。

それまでも互いのことは知っていたし挨拶くらいならかわしたことがあったけれど、ちゃんと会話したことはなかったからだ。
「同じように居残りして図書館で勉強したのがキッカケだったよね」

美麗も懐かしそうに頬を緩ませる。
Sクラスは進級すると同時に部活動が停止になっていたので、放課後になるとよく図書室で勉強をしていた。

そこで何度か顔を合わせているうちに、クラス内でも会話するようになったのだ。
美麗と昂輝の学力はほぼ同じくらいで、目指している高校も偶然同じ高校だった。

だけど得意科目が違ったので、互いに教え合う関係になったのだ。
休日なれば気晴らしに一緒にでかけるようになって、どちらからともなく手をつないで歩くようになった。
それから付き合い始めるようになるまでは短い期間だった。
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