生贄教室
☆☆☆

美麗と昂輝がSクラスへ戻ってきたとき、ふたりの顔はスッキリしていた。
美麗の頬には泣いたあとが残っていたし、目が充血していたけれどもう覚悟は決まっているみたいだ。

理沙はおずおずと昂輝に近づいて右手を差し出した。
これから自ら生贄になろうとしている人へむけて、なにを言えばいいのかわらかない。

だけど感謝の意味を込めての握手だった。
昂輝はふっと表情を緩めて笑うと理沙の手を握った。
強く、しっかりと。

「じゃあ、俺は行く」
化け物の破壊行動は更に過激化していてさっきから土埃が舞い上がり続けている。

そんな中へ、昂輝は出ていった。
満面の笑みを残して……。
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