生贄教室
食事の時間が近づいているのに、グラウンドにうずくまったままだ。
最初は少量だったモヤはどんどん量を増していき、化け物の縮小化が加速していく。
その間に太陽は登り続けてグラウンドを照らし出す。

突如ヘリの音が近づいてきたかと思うと、それには中継車のマークが印刷されていた。
《今、化け物の近くから中継しています! 化け物から煙が立ち上り、その姿がみるみる小さくなっていきます!》

スマホから中継の様子が聞こえてくる。
3階のベランダよりも小さくなった化け物が急に悲鳴のような咆哮を上げ始めた。

ついに暴れ始めたのかと思ったが、違った。
化け物の縮小化が更に加速して、そのために苦しんでのたうちまわっているのだ。
化け物は地面に転がり、うめき声を上げ、どうにか太陽の光から逃れようと体を引きずって移動する。

だけど全然間に合わない。
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