生贄教室
化け物の体は煙を上げながら、今や1階の天井くらいの大きさまで小さくなった。
それはまるで塩をかけたナメクジのようだった。
水分を失い、ドロドロに溶けていく様子を思い出す。

美麗はベランダに出てその様子を見つめた。
化け物が排出している煙は腐敗臭がしてとても長時間そこに立っていることはできなかった。
だけど、最後まで見届けたかった。

みんなを、12人を食べた化け物の最後の姿を。
「ウオォォォォォ!!」
それは化け物の咆哮であり、食べられてしまったクラスメートたちの叫びだった。

化け物の血肉になり、そして消滅してしまう、みんなの涙だった。
化け物はもう人間と同じくらいの大きさしかない。

朝まで待てば。
朝まで待つだけで、助かることができたのに。
美麗の頬に涙が伝う。
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