生贄教室
化け物はまだまだ小さくなって、子供くらいの大きさになった。
黒くて小さな体がのたうち回る。

低くて地響きがしていた咆哮は甲高い赤ん坊の泣き声のように変わる。
美麗は顔を覆って涙を流した。
S組は色々と問題を抱えたクラスだったかもしれない。

だけどいいクラスだった。
きっと、そう。
絶対に、そう。

化け物は咆哮をやめて地面に伏せた。
体からプシュプシュという音と煙を撒き散らして、動かなくなる。

その体は赤ん坊くらいになっている。
化け物の体はそのまま煙に巻き込まれてベランダからは見えなくなった。

「……みんなさようなら」
美麗がそう呟いて教室へ戻ったとき、風に乗って煙は消えて、化け物の姿は跡形もなく消滅していたのだった。
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