生贄教室
☆☆☆

「行ってきます」
心配する母親へ向けてそう言って美麗は家を出た。
制服を着て、学校へ向かう。

といっても今は隣の区の学校を借りて、みんなそこで授業を受けている。
化け物が出現して一月が経過していたが、その傷はまた癒えない。

美麗は取り残された人の中のたったひとりの生き残りとしてさまざまなメディアからオファーが来ていた。
だけど今の所それも全部断っている。
だって私は受験生だ。

特別進学クラス、Sクラスの生徒。
あんなことがあっても美麗は勉強をやめず、志望校も変えなかった。

だから両親の心配を押し切って今日もしっかりと勉強しに行く。
あの化け物がどうして突如出現したのかは未だにわからない。
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