生贄教室
それでも化け物は一度足を止めてヘリの方へと視線を向けたのだ。
一揆が化け物に近い距離で旋回し、そして弾丸を飛ばした。
それは化け物の体に難なく命中する。

「よし、当たったぞ!」
利秋がガッツポーズをしたのも、つかの間。
化け物は腕と思われる部分を持ち上げるとヘリをいとも簡単になぎ倒してしまったのだ。

翼の壊れたヘリはそのままグランドに落下していく。
轟音と共に土煙があがり、炎が見えた。
「嘘でしょ……」

美麗が口を抑えて後退りする。
自衛隊のヘリがまるでおもちゃみたいに壊されてしまった。
それは映画を見ているような感覚で、まるで現実味が湧いてこない。

だけど心臓は早鐘を打っていて、ちっとも静まってくれない。
「はっ……はっ……」
妙な呼吸をし始めたのは妙子だった。

真っ青な顔で短い呼吸を繰り返していたかと思うと、そのまま倒れ込んでしまった。
「ちょと、妙子!?」
友人の理沙がすぐに駆け寄る。
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