生贄教室
愕然としてしまい、そのまま膝をついてしまった。
せめてヘリで一人ずつ安全な場所へ……。
そう考えたときだった。

突然グラウンドから大きな雄叫びが聞こえてきてビクリと視線をむけた。
立ち上がり、フェンス越しにグラウンドを見下ろした。
あの化け物が両腕を振り上げてサッカーゴールを破壊している。

化け物に投げ飛ばされたサッカーゴールはまるでゴムみたいにグニャリとネジ曲がって落下した。
「なんだ? 今まで静かだったのに、なんで急にあんなに暴れるんだ?」
疑問を感じた時、それに反応するかのように化け物が振り向いた。

目がどこにあるかわからない、真っ暗な闇に包まれた顔。
それがはっきりとこちらを見た。
視線がぶつかる瞬間がわかった。

とっさに身を翻して逃げようとしたけれど、足が絡まってこけてしまった。
振り返ると化け物がたった一歩で校舎へ近づくのが見えた。
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