生贄教室
「いや！」
郁が咄嗟に目をそらす。
そのつかの間の間に先生の体は化け物の口の中に吸い込まれていった。

「嘘だろ……あの化け物、先生を食いやがった！」
利秋が真っ青になって叫ぶ。
「冗談やめてよ……」

一部始終を見ていた恵子が自分の体を両手で抱きしめる。
「ニュースでもやってたよね。サラリーマンを１人食べたって。これで二人目ってことだよね！？」

郁がなきじゃくりながら叫ぶ。
その横に雄太が寄り添った。
「先生がいなかったら、これからどうすればいいんだよ」

「私達だけじゃどうしようもないよ」
教室内は一気に恐怖と不安に包み込まれる。
中学生の自分たちだけでできることなんて限られている。

外に出ることもできないし、せいぜい物資がある限りここにいるしかない。
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