生贄教室
そんな時に教師の1人が食べられてしまったとニュースできいて、もしかして他にも学校に残っている人がいるんじゃないかと、探し始めてここまで来たようだ。
「他に学校に残っている人はいるんですか?」
昂輝の質問に池田は左右に首を振った。

「いや、他は誰もいなかったよ」
「じゃあ、本当に私達だけしか残ってないんですね」
美麗の胸の中に絶望の文字が浮かんでくるが、必死に押し殺した。

先生が食べられて大人がいなくなってしまったと思っていたところに用務員さんが来てくれただけでも、ありがたいと思わないといけない。
「それよりも君たち、なにも食べてないんじゃないか?」

教室内を見回して池田は心配そうにそう言った。
「食べるもなにも、そんな気にはなれないって」
強い口調で答えたのは妙子だ。

池田ののんびりとした雰囲気が気に入らないのか、さっきから鋭い目つきをむけている。
「それでもなにか食べないと。ちょっと、誰か手伝ってくれないか」
そう言われて手を上げたのは昂輝だ。

昂輝は池田に促されて一緒に教室を出ていく。
「なにあれ、全然頼りにならなさそう」
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