生贄教室
ぽっちゃり体型の郁が一番好きな食べ物は、チョコレートだった。
「もちろん。ほら」
板チョコを池田からもらった郁の頬に赤みが戻ってくる。

それを見た雄太はホッと胸をなでおろした。
さっきからずっと落ち込んで泣いていたから、もしかしたら食欲もないんじゃないかと思って心配していたのだ。
けれど郁はすぐに包み紙を開けてチョコレートを食べ始めた。

「まるでブタみたい」
妙子が小さく呟き、笑う。
それを聞いて理沙も顔を上げて笑った。

理沙はさっきまで泣いていたのに、人の悪口を聞くと元気になるみたいだ。
「さぁ、みんな好きなものを食べて。そうすれば元気になるから」
池田はそういい、笑顔を浮かべたのだった。
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