生贄教室
こんなに一瞬でかき消されてしまった。
「ちょっと、様子を見て見るか」
池田が立ち上がり、窓へ向かった。

窓の外はベランダになっていて、誰でも出られるようになっている。
池田はベランダへと続くドアの鍵を開けたのだ。
「待てよ、外に出るのか?」

利秋が眉を寄せた。
他の生徒たちも心配そうな表情を浮かべる。

「少し確認するだけだ。体育館の様子も気になるし」
化け物はまた体育館へと向き直り、破壊行動を続けている。

校舎と体育館は離れて建てられているものの、そこまで距離は離れていない。
もしも体育館が倒壊するようなことがあれば、こっちまで被害が来るかも知れない。

「でも、暴れてるのを確認するのは危ないんじゃないですか?」
美麗が池田に後ろから声を掛けた。
せめて化け物が静まってから確認したほうがいいと思ったのだけれど、化け物の破壊行動はどんどんエスカレートしている。
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