生贄教室
☆☆☆

池田が外へ出ても土埃のせいでやはりグラウンドの様子はよくわからなかった。
それでも体育館が崩されていおく音は聞こえ続けている。

化け物はまだまだ暴れたりないようだ。
池田は作業ズボンの尻ポケットに入れていた懐中電灯を取り出して体育館の方を照らしてみた。
ここから照らしてみてもやはり状況はわからない。

そろそろ太陽が完全に沈んで暗闇が訪れる。
その前に少しでも事態を把握しておきたくて、手すりに前のめりになった。

と、そのとき突然化け物の破壊音が止まった。
ピタリと音楽の停止ボタンを押したときのように。

突然訪れた静寂に池田は一瞬ひるんだものの、その場から動かなかった。
化け物が破壊を止めたのなら、少し待てば土埃も収まる。

そうすれば状況がわかるはずだった。
だから池田は懐中電灯で体育館のあたりを照らし続けた。
そして土埃が落ち着いてきたとき、その中に黒い陰が見えた。
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