生贄教室
恵子は腕組みをして利秋を見つめている。
このクラスの中で利秋へ臆することなく話しかけていたのは、恵子だけだった。

「なんだと? 決めなきゃ自分が死ぬかもしれねぇんだぞ?」
利秋が恵子に一歩近づく。

それでも恵子は臆することがなかった。
「生贄に選ばれたらそれこそ確実に死ぬでしょ。誰だって死にたくない」

「あぁ、そうだな。だから話し合いや多数決で生贄にするヤツを決めるんだ」
「多数決? それじゃきっとあんたが一番最初の生贄になりそうだね」
恵子の言葉に利秋が青筋を立てて拳を握りしめる。

「あんた、いつもクラスの和を乱してたじゃん。怒鳴って威張って、相手を自分の言う通りにさせて、そんなので慕われているつもりだった? 怒鳴らないと言うことを聞いてもらえないってことはね、リーダシップがないってことだよ?」
「黙れ!!」

利秋が顔を真赤にして怒鳴る。
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