生贄教室
苦しいくらいの沈黙が教室の中を充満している。
できればこのまま逃げ出してしまいたい。
でもできない。

学校から出ることは死を意味しているから……。
「申し訳ないけど、私も清がいいと思う」

その言葉に誰もが振り向いた。
立っていたのは妙子だ。
妙子は恵子と同じように腕組みをして、清をジッと見ていた。

「なんでそう思うの?」
質問したのは恵子だ。
恵子はスッと腕組みを外す。

「この中じゃ一番やくたたずだったから」
歯に衣着せぬ言い方に清が息を飲む。
懇願するような目を妙子へ向けるけれど、妙子は止めなかった。
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