生贄教室
必死になっていて頭の中は真っ白で、自分がなにをしているのかわからなくなった。
「やめて清!」
後ろから美麗に羽交い締めにされて、清はようやく自分の行動を止めることができた。

ふと見ると自分の体の下で妙子が、両手で顔を覆った泣いていた。
「なんだよ……なんでお前が被害者みたいな顔してんだよ!」
こんな乱暴な口を聞いたこともない。

僕は真面目に、頑張ってきたのに……。
妙子が両手を顔から離した時、鼻血が出ていることに気がついた。
そして自分の右手の拳にも血がついている。

あ……。
やってしまった。
クラス内では絶対に見せないはずだったもうひとつの顔が、出てきてしまった。

清はよたよたと後退して、そのまま倒れ込んでしまった。
妹への暴力をやめることができない。
それが僕の大きな秘密だったのに!

「違う……僕じゃない!」
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