生贄教室
毎日行われるテストにも、もううんざりしていた。
「たまには気分を変えて図書館で勉強しようか」
「それいいね」

この街の図書館はチョッピングモールの最上階に入っている。
お腹が空けばフードコートなどで甘いものを食べられるし、ほどよい喧騒は気分転換にもなる。
「デート先変更! 図書館だってぇ!」

すぐに妙子が揶揄を飛ばして笑う。
今度は美麗も昂輝も少し顔をしかめた。
外でデートするときのその場所をバラされると、遊び半分で見に来る生徒がいるかもしれない。

それに関しては正直迷惑だった。
そんな暇があれば自分も勉強すればいいのにと思ってしまう。
「ちょっと妙子、その辺にしときなよ? ふたりとも怒ってるから」

調子に乗る妙子を止めたのは恵子だった。
「なんでよ恵子。恵子だってふたりのデートがみたいでしょう?」
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