生贄教室
ガンッ！　突如大きな音が聞こえてきて振り向くと、化け物が体育館を攻撃しはじめていた。
土埃が舞い上がって、すぐに周辺の様子がかき消されてしまう。

けれど体育館が倒壊していく音だけは聞こえてくる。
「うぅ……はじまった」

化け物は食事をする前に暴れ始める。
それは幼い子どもが空腹や眠気を訴えてだだをこねるのと同じようなものだった。

化け物は今、再び空腹を感じているのだ。
清はその場に座り込み、両手で口を覆って気配を消した。
化け物がこちらに気が付きませんように。

化け物がどっか行きますように。
ガタガタと体を震わせながら願うことはただそれだけだった。

化け物がいなくなって日常へ戻ることができるのなら、利秋にイジメられたままでいい。
その方がずっとずっとマシだ。
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